ガーデン ご紹介

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グレート・ディクスター  Great Dixter
               2012年6月1日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

グレート・ディクスターは2度目の訪問だ。正直私は前回の印象は余りよくない。しかし、妻は「もう一度みたい」と言うので遣ってきた。
エントランスからハウスに向うアプローチは一直線だ。進んでいくと愉快なほどに傾いた玄関のポーチが見える(写真下左 見た目にはもっと傾いている)。
この建物は15世紀半ばのもので、1910年にこれを購入したナサニエル ・ロイド(Nathaniel Lloyd)は別にケントに所有していた似たような 16世紀の建物をここに移し、2つを合体して復元する工事を建築家のエドウィン・ラッチェンス(Edwin Lutyens)に依頼したのだ。 したがってこのマナーハウスは新たに加えられた部分を含め3つの建物が一つになったものだ。
ラッチェンスは有名な園芸家のガートルード・ジーキルと共同で多くのガーデンを造り、コテージ・ガーデンというスタイルを確立した人だ。

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そのラッチェンスがデザインしたサンクン・ガーデン(Sunk Garden)が写真上右と下3枚だ。ハウスの北側に位置する。 コンテナも取り入れた植栽は厚すぎる感じはするが、その多彩さはさすがだ。
写真上右の背景の"White Barn"や下左から2枚目の背景の"Great Barn"と"Oast House"など相当古い建物に囲まれている。
写真下右はアプローチからのサンクン・ガーデンへの入り口。イチイのヘッジが厚く高い。ガーデンのいたるところに巡らされている。

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ハウスの東側に一段高くした長方形の部分をイチイのヘッジで3つに分割したガーデンがある。このようにヘッジやレンガの塀でガーデンを分割する手法を アウトドア・ルーム・ガーデンといい、ラッチェンスがガートルード・ジーキルと共に確立したものだ。
最初の部屋は"Peacock Topiary"と名付けられている。四角錐台の上にクジャクが乗っている形のトピアリーが18並んでいる。 見上げるほどの高さがある堂々たるものだ。Peacock Topiaryと謳っているからクジャクと思えなくはないが、それにしてはかなりメタボだ。 どちらかというとリスに見える。トピアリーとはそうしたものだ。何に見えるかはゲスト次第、製作者は製作者なりに楽しんでいれば良い。

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次の部屋は"High Garden"と名付けられている(写真下左3枚)。イチイのヘッジで囲まれた正方形のエリアを十字の通路で4つに仕切り、 それぞれ異なる植栽を施している。植栽は濃密を極める。しかも、通路脇にも背丈があり、葉張りの大きなものが植栽されているので、 それでなくとも狭い通路が塞がれていてしまう。すっきり感がない。
現在のこのガーデンはナサニエル ・ロイドの息子でガーデンライターとして有名なクリストファー・ロイド(Christopher Lloyd 2006年没))が 1954年にここに戻り、ナーサリーを経営しつつ植栽をし直したものだという。そのナーサリーでは変わった植物を多く扱ったという。 解せないことに、クリストファーは幼少の頃ガートルード・ジーキルの指導も受けているとのことだが、ジーキルの説く"カラー・スキム"は 学ばなかったのだろうか。強烈な色彩とボリュームに圧倒されるばかりだ。
もう一つの部屋は"Orchard Garden"だ。イギリスのガーデンでは定番だが、花色の少ない此の手のガーデンは好みでない。

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ヘッジを潜り階段を下りると壁に沿って"Long Border"が連なる(写真上右、下左2枚)。ここでも色彩とボリュームは圧倒的だ。 ここまで徹底するとそれはそれで受け入れるしかない。凄いエネルギーを感じる。それにつけても、一つひとつの植物の活きの良さ、伸びやかさには呆れるばかりだ。
ここまでガーデンを巡る間、常にハウスが視野に入ってくる。これはラッチェンスお得意のコテージ・ガーデンの一例かもしれない。 シシングハーストの項で述べた”生活と共にあるガーデン”を考えると、そこにハウスは付き物なのだ。

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ハウスの裏側に回ると、嘗ての鶏小屋(Chicken House)の壁を取り払って開廊(Loggia)にした建物がある(写真上右から2枚目)。 鶏小屋とはいえ大きなものだ。ここもバラなどのつる性植物や潅木、宿根草で覆われそうなほど濃密な植え込みだ。
開廊を通り2つの可愛いアヒルのようなトピアリー(写真上右)の間を抜けると"Topiry Lawn"に出る。 こちらも屋根が波打つほど古い家畜小屋(hovel)の前の草原に幾つものトピアリーがある。何を模ったのか想像するのも楽しい(写真下左から2枚目)。
鶏小屋といい家畜小屋といい、こうした古いものを壊さず、巧みに再利用するのもイギリス人の真骨頂なのだ。
家畜小屋の裏に"Exotic Garden"なるものがあったが、ここの植栽にも首を傾げる。
Long Borderへ戻る石の階段が素晴らしい。3つの円を組み合わせたデザインだ。植栽はセダムとエリゲロンと芝。素晴らしい(写真下右)。
前回の印象から比べると評価を上げたが、色彩感覚は相容れないものがある。細かなところの手入れも今一つの感が残る。

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Information
 Address  Northiam, Rye, East Sussex TN31 6PH
 Telephone  01797 252878
 Web Site  Great Dixter

オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。

「旅行記」もご覧ください。

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